北海道、~上野ファームへ~
今、梅雨の真っ只中。梅雨がないという北海道でも、私が訪れた6月の中旬は、特に良く晴れた日が続き、爽やかな風とたくさんのいい景色に出会うことができた。
さて、以前から訪れてみたかった場所のひとつ、上野ファームさんへ。北海道旭川市永山町にある「北海道ガーデン」である。13,200平方メートルの広大な敷地に、約2000種以上の草花があり、2023年度は4月21日から10月15日まで(いらっしゃる場合はご確認を)、無休で開園予定としている。私の頭の中では、爽やかな秋風の中、植物がさわさわと揺れる風情のある、冬に向かう景色をも早くも想像してしまったが、それに対するこの初夏の爽やかな風の中で青い空と太陽と植物は見事な夏の風景だった。
もともと米農家さんだったが、何年もの長い歳月をかけて、家族みんなで作り上げた「北海道ガーデン」。北海道だからこそ表現できる庭になっていったそうだ。また納屋とレンガ作りの牛舎を改造してカフェや売店に改造するなど、お茶を飲みながらゆっくりとこのガーデンを楽しむこともできる。
綺麗なものへの憧れから始まった私の花の仕事は、切り花が原点で、地に植物があるような自然な花の在り方から始まったものではない。この仕事を始めてから、逆に、自然な花のあり様を意識することになった。庭の作り方はいろいろあるけれど、自然がそこにあるように、自然そのものを大事にし管理していくことは、容易なことではないと想像される。長年の、そして毎日の管理の積み重ねとしかいいようのない素晴らしい北海道ガーデンを楽しませていただいた。
また近年は特に、線の細いたおやかな花、風情という言葉がぴったりの花などは、切り花としては入手しづらくなった。この花を使いたいたいと思っても、作り手がいなくなってしまい入手困難になったもの、以前は使えたけれど、もう市場であまりお目にかかれないものなどが増えたように思う。今回、以前はよく手にした花の自然な姿、加えて自然ならではの花に出会うことができた。やはり花は、自然の中にあることが一番美しいのであろうと思わせてくれた。青い空と爽やかな風と自然にのびのび育つ植物の取り合わせは、最高の景色であった。
(高橋洋子)